当薬局の在宅への取り組み方を変えたある患者様からの一言

石田薬局は地域の患者様のお役に立ちたいという思いで開局しました。その一環として20年間在宅訪問をさせていただいております。しかし、以前の在宅訪問は保険点数的にもそれほど評価されておらず、患者様が施設に入られたりお亡くなりになられたりするケースもあり、経営的視点からは安定した収入源にになりにくい業務でした。あまり損得勘定を考えたくはありませんが、在宅訪問の対象は近隣の患者様に限られ、頼まれればお引き受けする程度のボランティア的な位置付けでした。

近年、厚生労働省はかかりつけ薬局構想を打ち出しました。その一環として地域支援加算を 2018年に新設。その施設基準の一つに在宅訪問実績があります。在宅訪問を積極的に行う薬局は、安定した加算が得られるようになったのです。

この時私が想定していた患者様は終末期1)の患者様です。当初は「終末期対象の在宅に腰をすえて取り組める!」と喜んでいましたが、訪問看護師の仕事とかぶる部分もあり在宅医療チーム2)に入ることができず、なかなか患者数が伸びません。途方に暮れること1年。状況が変わったのは精神科疾患で通院/外出困難になり当薬局から「一時的に」お薬を届けていた(と私は思い込んでいた)若い女性患者様からの1本の電話でした。

「これからも薬は今までどおり石田薬局さんからもらいたい。(医師の)往診後にまた来てくれませんか?」

目から鱗が落ちる思いでした。私は対象を終末期の患者様に勝手に限定してしまい、それ以外の疾患で薬を取りにこれなくて困っている人がいることに気がついていませんでした。さらに、この経験から、ご自宅を訪問した際に「薬を媒介としたコミュ―二ケーション相手としての薬剤師」にニーズがあることも知りました。

薬子さんを含む在宅医療チーム
薬剤師もチームの一員!上段向かって左端が『大海薬子』さん 3)

 

これ以降は、在宅=終末期という観念を捨て去りました。医師やケアマネージャーとチームを組みながら比較的短期で訪問が終了する服薬指導中心の在宅訪問にも本格的に取り組み始めました。

このブログではこのような地域に密着した石田薬局の在宅訪問の実際を紹介していきたいと思います。

1)いかなる医療の効果も期待できず、余命が数か月以内と判断される時期をいう。

2)医師をはじめ、歯科医師、訪問看護師、薬剤師、栄養士、理学療法士などの医療関係者が患者様のご自宅で治療やケアを行っていくチーム

3)大海薬子さんに関してはこちらをご参照ください。

 

【テキスト加筆・修正:猪股弘明(精神科医師)】

 

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