フランスでアリセプトが保険から外れました

アリセプト(ドネペジル塩酸塩)を飲まれている患者様のご家族から質問がありました。

(患者様)アルツハイマー型認知症薬アリセプトがフランスで保険適用から外れたと聞きました。有用性が不十分とのことでした。日本ではどのようにアリセプトが評価されて保険適用になっているのでしょうか。

(私)日本の添付文書によればアリセプトの薬効はアルツハイマー型認知症状の改善ではなく進行抑制とされています。承認審査の際の報告書によると、アリセプト服用中止後の認知機能は非服用時と同程度までに急速に悪化することから、本薬はあくまでも対症療法であるとされています。日本では服用しないで半年経過した場合と半年間服用した場合では認知症状に差があったということで平成11年に承認され保険適用になりました。

(患者様)なるほど。飲んだらすぐ効くのではなく、1年くらいたたないとわからない。でも飲まないと悪化する。そういうお薬なのですね。

(私)おっしゃるとおりです。フランスがアリセプトをどのように評価しているのか、また保険制度がどうなっているのか継続して調べてみますね。

 

 

認知症とは

(ジュニア理科資料、浜島書店からの抜粋)

皆様は、古い出来事は鮮明に覚えているのに、最近のことは記憶があいまいになっているお年寄りに出会ったことはありますか? こういったお年寄りはまるで古い地層が何かの拍子に地上に出てきてしまったように昔の記憶を繰り返し繰り返し語ります。

これは年を取ればだれにでも起こりうることで、これだけでは認知症とは言いません。

では、認知症の定義とは何でしょうか? 以下のフローチャートに従って診断が なされていきます。初めにテストを行い、点数が低ければ、まずは認知症として確定。さらに検査をすすめて、より詳細な診断を決めていきます。

診断によって使う治療薬が変わってくるので、この点は薬剤師的にも気をかけておかなければなりません。

(認知症ガイドライン2017からの抜粋)

 

認知症には、主に、アルツハイマー型認知症(60%)、脳血管性認知症(20%)とレビー小体認知症(10%)があります。レビー小体型認知症は、あまりなじみがあるとはいえないと思いますが、横浜市立大の小阪教授が発見したことで有名です。横浜市民なら知っておきたいですね。

 

認知症とは(たんぱく編)

アミロイドを蒸気機関車に例えるとタウはカブース(最後尾の乗務員車両)である。アルツハイマー型認知症の初期にアミロイドが発現し、記憶、会話に失敗するようになったころ、tauが発現するのである(TIMEより)。

 

認知症には、主にアルツハイマー型認知症(60%)、脳血管性認知症(20%)とレビー小体認知症(10%)がある。

【アルツハイマー型認知症】

<概要>アルツハイマー型認知症は、脳の記憶に関する部位(海馬、前頭葉から側頭葉)にアミロイドが蓄積することで神経原線維変化が出現し、脳の神経細胞が死滅することでおこる認知症である。

<原因>大脳皮質にみられる神経原線維変化の出現により症状が引き起こされる可能性が非常に高い。神経原線維はタンパク質タウで構成されている。タウは通常、軸索にある微小管の間の架け橋として機能し、微小管がまっすぐ縦に走ることを確実にしているのだが、アルツハイマー病ではタウは微小管から離れ細胞体に蓄積している。この細胞骨格の崩壊により軸索は障害され、障害されたニューロンでは信号の正常な流れが妨害される。いったい何がタウを変化させたのだろうか?アミロイドと呼ばれるアルツハイマー患者の脳に蓄積する別のタンパク質の異常分泌が原因とされる。

<診断>脳の画像(MRI,PET,SPECT)で診断がつく。海馬を中心に脳の萎縮が見られる。

<男女比>女性に多い

<症状>もの盗られ妄想、徘徊

<治療薬> 現在、神経を強引に働かせる薬しか承認されていない。

NMDA受容体阻害薬:メマリー、

コリンエステラーゼ阻害薬:アリセプト、レミニール、イクセロン(貼付剤)、リバスタッチ(貼付剤)

【脳血管性認知症】

<概要>脳血管性認知症とは、脳梗塞、脳出血などといった脳の血管障害により、おこる認知症。

<診断>脳の画像(MRI,PET,SPECT)で脳が壊死したところが確認できる。

<男女比>男性に多い。

<症状>手足のしびれ、麻痺、感情のコントロールがうまくいかない

<治療薬>

(1) 出血性脳血管障害

抗脳浮腫薬:濃グリセリン・果糖 (グリセオール注)

意識障害改善薬:酒石酸プロチレリン (ヒルトニン注)

Ca拮抗薬:ニルバジピン (ニバジール)

脳血管攣縮予防薬 (トロンボキサン合成酵素阻害薬):

オザクレルナトリウム (カタクロット)

血小板凝集抑制薬:塩酸チクロピジン (パナルジン)

再出血予防薬:トラネキサム酸 (トランサミン)

タンパクリン酸化酵素阻害剤:塩酸ファスジル水和物注射液 (エリル注S)

糖質副腎皮質ホルモン剤:リン酸デキサメタゾンナトリウム (デカドロン注)

 

(2)虚血性脳血管障害

血栓溶解剤 (t-PA製剤):アルテプラーゼ (グルトパ,遺伝子組換)

チソキナーゼ (ハパーゼ,天然型)

血栓溶解剤:ウロキナーゼ (ウロナーゼ)

微小循環改善薬 (抗血小板薬):オザクレルナトリウム (キサンボン)

選択的トロンビン阻害薬:アルガトロバン (スロンノン)

血小板凝集抑制薬 (COX阻害):アスピリン (バファリン)

血小板凝集抑制薬 (Glycoprotein IIb / IIIa 阻害):塩酸チクロピジン (パナルジン)

血小板凝集抑制薬 (PDE阻害):ジピリダモール (ペルサンチン)

脳代謝賦活薬:ニセルゴリン (サアミオン)

脳血管拡張薬 (α受容体遮断薬):酒石酸イフェンプロジル (セロクラール)

【レビー小体型認知症】

<概要>レビー小体という特殊な蛋白ができることで、神経細胞が死滅してしまう。レビー小体はドーパミンやセロトニン、ノルアドレナリンやアセチルコリンと呼ばれる神経細胞に出来る事が多く、特にドーパミン神経細胞が異常変化を起こし、その脱落した所にレビー小体が出来るとパーキンソン病の症状の強いレビー小体型認知症になると言われています。

ドーパミンは下記の漏斗の調節機能に例えられる。

<診断>脳の画像(MRI,PET,SPECT)ではっきりとした脳の萎縮はみられない。

<男女比>男性にやや多い。

<症状>認知機能障害(注意力、視覚等)幻視、うつ状態。パーキンソン症状

<治療薬> アリセプト

 

 

出典

ジュニア歴史資料, 浜島書店

神経科学、ベアー コノーズ パラディーン、西村書店

田熊一敬 平成20年度大阪大学薬学部卒後研修会 認知症治療最前線 2009年1月31日