かくれ高血糖にご用心!!

健康診断ではわからないかくれ高血糖(食後高血糖)はなぜ危い?

糖尿病診療ガイドライン2016によると

HbA1c6.9%未満であれば、細小血管障害(糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害)が防げる。

しかし、大血管障害(脳梗塞、心筋梗塞、動脈硬化)は食後高血糖だけが高い段階から進展するリスクが高い。

膵臓を一部摘出した室井佑月さんがヨミドクターで「毎朝決まった時間に血糖値をチェックするようになって、面白いことに気付いた。前の晩の食事や過ごし方で、血糖値が予測できるのだ。と例えば、夕食でお酒を飲んで、白米や麺などの炭水化物を控えた場合は100(血液1デシ・リットルあたりブドウ糖100ミリ・グラム)前後になる。お酒を飲まず、しっかり食事をとると130くらい。深夜までだらだらとチョコレートをつまんだり、ラーメンを食べたりしたときは160以上になることもある。」とおっしゃっていました。

私も、昼ごはんを食べて、お菓子やクッキーを食べると上記のように160を超える。朝食、夕食にスープやみそ汁と飲むと上記のとおり150以下に収まるのです。

ガイドラインではBMIに合わせて体重を1キロ、2キロでも減らすと有益と書いてありました。

やはり日頃の節制と生活習慣が重要ですね。

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【糖尿病新薬オゼンピック皮下注の勉強会に参加しました】

糖尿病新薬オゼンピック皮下注(セマグルチド)の勉強会に参加しました。

糖尿病のお薬には注射剤と錠剤があります。注射剤は組成がタンパクで腸管から吸収されないため、皮下注射されます。注射剤には、①インスリンアナログ製剤1)②インクレチン(インスリン分泌ホルモン、以下、GLP-1という。)製剤の2種類あります。オゼンピックは、後者に属します。食事をとると下図のようにホルモンGLP -1が分泌されインスリンが出されます。オゼックスはGLP-1を改変させたものです。

オゼンピックは既存のビクトーザ(GLP-1+パルミチン酸、1日1回皮下投与)の投与間隔を持続させ、週1回皮下投与としたものです。同じく週1回の既存薬トルリシティ2)(GLP-1+ヒト抗体)と比較し、体重減少効果が強いのが利点です。

持続化のメカニズムについては以下の通りです。①長鎖脂肪酸によるアルブミン結合の増強により半減期を遅らせます。②GLP-1は下図のようにDPP4で分解されます。オゼンピックはDPP4での分解が起きにくくなっています(詳細はインタビューフォーム参照)。

1)インスリン製剤トレシーバはなぜランタスの倍の時間効くの?

2)糖尿病注射トルリシティはなぜ1週間効くの?

薬局で一番売れているのは飴ーその2-

患者様からの質問。

患者様「ノンシュガーって言っても還元水飴と書いているものはお砂糖が入っているんでしょう?」

私「還元水飴とは、水飴という食品に水素を加えて結合させてできた糖アルコールという化合物で、胃や腸で消化・吸収されにくい糖質です。砂糖などに比べてカロリーが約1/2~2/3です。また、この飴にはグルコースが入っていないので血糖の上昇が緩やかです。糖尿の患者様にはおすすめですが、カロリーがゼロではないので食べ過ぎに注意です。」

患者様「糖にはほかにどんな種類があるのですか?」

私「糖は、単糖類、少糖類、多糖類に分類されます。単糖類は、グルコース、フルクトース、ガラクトースなどがあります。単糖が二個つくと二糖類になります。例えば、グルコースとフルクトースがくっつくとショ糖、グルコースとガラクトースがくっつくと乳糖になります。それがだんだん大きくなり、グルコースがたくさんくっつくと多糖類、例えば澱粉やグリコーゲンになります。消化液で分解されて小腸から吸収されるのは、単糖のグルコース、ガラクトース、フルクトースだけです。そして主要な栄養物質になるのはグルコースだけです。」

患者様「他の二つは栄養にならないのですか?」

私「どちらも栄養分にはなりますが、グルコースと違って、インスリンの分泌に影響しません。ガラクトースはほとんどが肝臓に入り、グリコーゲンの合成に使用されます。フルクトースは、肝臓でグルコースの代謝経路の中間代謝物に変換されます。注1

患者様「グルコースは燃焼することでエネルギー源になると聞きました注2。ガラクトース、フルクトースはその過程の中間体の役割も果たしているのですね。それでノンシュガー飴よりも普通の飴を舐めるとより元気になるのですね。」

栄養学における最近の話題からの要約

大塚製薬工業(株)栄養学の基礎知識からの抜粋

注1:ガラクトースはほとんどが肝臓に入り、ガラクトース1リン酸からUDP-グルコースと変換され、グリコーゲンの合成に使用されます。少量のガラクトースは細胞膜や血清中の糖タンパク質や糖脂質の糖鎖部分の合成に利用されます。フルクトースは、肝臓で解糖系の中間代謝物に変換されます。また、脂肪酸合成のためのα―グリセロン酸に代謝されます。小腸から吸収されるグルコースが非常に少ない場合、肝臓でグルコースの生成に利用されます。

注2:グルコースは呼吸で取り込んだ酸素と反応して、二酸化炭素と水とエネルギーに変換され、エネルギーはATP,NADHという形で蓄えられます。

薬局で一番売れているのは飴

「口が乾燥してカラオケが歌えない。」、歌を生業とされている方から、「唾液の分泌が悪くて飴を舐めている。いい薬はないか?」なんて相談を受ける。

緊張すると交感神経が優位になり、だれでも喉がかわく。その作用を応用した副交感神経刺激薬のサラジェン、エボザック、人口唾液サリベートエアゾルなどがあるが、シェーグレン症候群など適応が決まっているので処方は難しい。薬は副作用があるから、その程度なら飴や水で善処してという流れだろう。

結局、ジェルタイプの「バイオティーン」やお手頃価格の「うるおいキャンディー(ノンシュガー)」を勧めることになる。後者をなめてみると確かに話すのも大変というほど唾液が出てくる。成分は普通のノンシュガー飴と同じく、清涼感の出るキシリトールや還元水飴などの糖アルコールである。唾液を出す物質とは何か?アサヒグループ食品様に聞いてみた。すると、形が凸凹しているので、舌が刺激されることで唾液が出るとの回答。刺激って重要なんですね。

口の乾燥以外でも栄養補給に飴を買われる方もいる。人血は重量にして約0.10%のグルコースを含んでいる(約0.16%に増大すると腎臓で除去され尿中に排泄される)。主要な栄養源であるグルコースが欠けると低血糖になり、ふるえなどが生じる。糖尿の薬をのんでいる患者様が低血糖予防で飴を買われることもある。グルコース以外の糖は、カロリーにはなるが、血糖にならないのでノンシュガーは薦めない。

のどの痛み、会議中にねむくならないように飴を忍ばせる会社員、空腹時、眠気の応急処置、ダイエットなど、飴はなかなか侮れないのである。つづく。

補遺 低アルブミン血症

前回、「持続時間が長いインスリン製剤のうち、脂肪酸をつけたインスリン(トレシーバ、レベミル)は皮下組織中のアルブミンとくっつくことで血流にのる前に皮下に長い時間とどまっている。しかし、血流にのっかったら、普通のインスリンと同じ持続時間である。よって低アルブミン血症患者でも不安定ではない。」と記載した。
低アルブミン血症って何?
アルブミンは薬物や脂肪酸、ホルモンと結合して体の必要な組織に運搬する働きをしている。アルブミンは肝臓でつくられるのだが、肝硬変など、肝臓に障害が生じるとつくられにくくなり低アルブミン血症となる。
そこで、臨床医に肝障害と糖尿病との関連について聞いてみた。
回答は「関連する症例は少ない」とのこと。
でも興味深い話を聞いた。
① 低アルブミン血症になると入院となるので、糖尿病になったとしても病院で血糖管理がなされているので持効性インスリン製剤はあまり使われない。
② 今のお年寄りで糖尿病の方は、昭和の企業戦士だった方が多く、食事を残してはいけないとしつけられたり、生活習慣が仕事で乱れていて大食いしていたことがある。そういう方は肝臓が強い。
とのこと。
 参考までに肝機能障害の評価方法を調べてみた。
肝障害の評価方法として肝機能予備能がある。予備能とは肝臓の残された機能がどの程度かを表わし、評価法には「肝障害度」や「Child-Pugh分類」などの基準がある。肝硬変や肝細胞がんの患者がどの程度の治療に耐えられるかという肝臓の予備能力の指標となり、治療方針を決める上で重要である。

消化器科では、様々な指標・分類が使われます。
その中でも、肝障害度を評価するスコア、
Child-Pugh分類(チャイルドピュー分類)があります。
臨床的には肝硬変の程度を表し、肝癌治療などの目安にもなる
【評価項目】
①脳症
1点:脳症なし
2点:軽度脳症あり
3点:時々昏睡
②腹水
1点:腹水なし
2点:少量の腹水あり
3点:中等寮

③Bil(mg/dl):ビリルビン
1点:<2
2点:2~3
3点:3<

④Alb(g/dl):アルブミン
1点:3.5<
2点:2.8~3.5
3点:<2.8

⑤PT(秒)(%)
1点:1~4秒 80%<
2点:4~6秒 50%~80%
3点:6秒< <50%

GradeA(5~6点)
GradeB(7~9点)
GradeC(10~15点)

の3段階で評価されます。

スコアが8~9点の場合には1年以内に死亡する例が多く、
10点以上になるとその予後は約6ヶ月となります。
研修医マニュアルhttp://resident.weblog.to/archives/35755275.html
より引用。


【患者様からの質問】インスリン製剤トレシーバはなぜランタスの倍の時間効くの?

 40年近く会社に奉職され、定年後は第二の人生でお忙しい患者様Aさん。元リーダーだけあって「この方の下だったら働いてみたいな。」と思わせる半面、「Aさんは人の話聞かないから。」と主治医に苦笑いされるAさん。糖尿病の薬は忘れがち。時間指定のない以前記載したトルリシティ(以後、注射剤の商品名を示す)とトレシーバ(インスリンデグルデグル)が処方されていた。先日、血糖値が安定しないのか、トレシーバからランタス(インスリングラルギン)に変更がなされた。
(質問)トレシーバからランタスに変更になったけど、どう違うの?
(回答)トレシーバの持続時間は、42時間超。ランタスは24時間。トレシーバは注射し忘れた場合でも回復できる。
(質問)トレシーバはなぜランタスの倍の時間効くの?
答えられなかったので調べてみた。
 まずは参考までにインスリン吸収の模式図を下に示す。インスリンは高濃度で6量体になりたがる。皮下組織で希釈されることで分子量の小さい単量体になって、毛細血管から血中に吸収される。 
 トレシーバは、下記に示すように、皮下組織中で6量体インスリンが数珠つなぎになる構造を持つ。そして徐々に血中に単量体として吸収される。さらにインスリンに脂肪酸がくっついている。皮下組織中のアルブミンと脂肪酸がくっつくことにより、血管への吸収遅延を起こさせる(下図参照)。よって42時間持続されるのである。インスリンは、血液中のアルブミンの数万分の一しか結合しないため、低アルブミン血症患者には影響しない。
 それに対しランタスは、通常酸性のインスリンに塩基性アミノ基を置換し、中性分子にすることにより血液中で難溶性にする。

栗田卓也, インスリン製剤の変遷をたどる, 株式会社メディカルジャーナル社 からの引用


普通のインスリンと48時間作用が持続するトレシーバの違い


糖尿病注射トルリシティはなぜ一週間きくの?患者様からの質問を踏まえて

トルリシティ(遺伝子組み換え)

糖尿病注射製剤には、大きく分類して、①インスリンそのものもしくはインスリンと同等の作用をするインスリンアナログ製剤と、②間接的にインスリンを分泌させるインクレチン(インスリン分泌ホルモン)の一種であるGLP-1受容体に作用するGLP-1製剤の2種類がある。トルリシティは、後者に属する。GLP-1は、膵臓β細胞からのインスリン合成と分泌を盛んにさせるインクレチンホルモンである。よってⅠ型糖尿病には使用されない。最近になり、この作用に加え、β細胞を増殖させる作用があるとFuscoらが報告している(Fusco.J et.al., Scientific Reports, 2017)。

内服においてもGLP-1 の働きを失活させるDPP-4 を阻害する薬(ジャヌビア等)は、従来のSU剤、ビグアナイド剤等と比較して使用頻度は高く、わが国で一番処方が多い糖尿病製剤となっている。

トルリシティはインクレチン(インスリン分泌ホルモン)の一種であるGLP-1とヒト抗体を組み合わせた構造を持っている。ちなみにビクトーザはGLP-1とパルミチン酸を組み合わせている。

・トルリシティ(遺伝子組み換え)の“遺伝子組み換え”って何?

薬としてより良い効果を示すために、分解の抑制、溶解度の改善、免疫原性の低減を目的にGLP-1の5か所のアミノ酸を天然のものとは異なるアミノ酸に置き換えてある。アミノ酸は遺伝子を設計図としてつくられるので、設計図を変更している。これを遺伝子組み換えという。

・なぜ、一週間効くの?

ヒト抗体をつけて排泄を遅延させている。GLP-1に分子量の大きなヒト抗体を結合させることで腎排泄を受けにくくなっている。そのためにヒトの体内に長くとどまることができる。

  • 皮下注でも膵臓にきちんといくか?

健康成人にデュラグルチド(トルリシティの一般名)0.75mgを単回投与したときの絶対的バイオアベイラビリティ(製剤がどれだけ血中に入るかの指標)は65%であった。添付文書によれば、血中濃度が有効な濃度になっていることから、膵臓へ作用することは明らかである、としている。