【リブレ】薬剤師が使ってみました。なんと食後高血糖が起こってました。

薬剤師がリブレ【24時間血糖(間質液中)測定FreeStyle】使ってみたら食後高血糖起こしていました。

健康診断時は、空腹時血糖80、ヘモグロビンA1c5.8で安心しきっていました。しかし。。。

(患者)食後高血糖って何ですか?

(私)食事をすると血液中の血糖値が高くなります。それを正常値にまで下げるためにインスリンというホルモンが分泌されます。インスリンは肝臓や筋肉などの細胞に糖が取り込まれるのを促し、その結果、血糖値が下がります。インスリンの分泌量が低下すると血糖値を下げることが難しくなり、食後高血糖となります1)

2011年の食後高血糖におけるガイドラインでは治療目標を「低血糖を起こさずに、食後1~2時間血糖値を160㎎/dl未満」としています。

試しに、私もリブレで実際測ってみました。上の図のように私も食後高血糖を起こしていました(山が2個あるのは昼食30分後にポテトチップスを一袋を食べたからです)。昼食後2時間後に160を超えています。

(患者)どうして食後高血糖はいけないのですか?

(私)糖尿病になる前段階といわれています。ガイドラインでは心血管疾患リスクを増大し動脈硬化、網膜症、がん、認知症と関係していることが報告され、有害とされています。

(患者)食後高血糖を防ぐためにはどうしたらいいですか?

(私)現時点では無作為試験臨床試験による食後血糖是正が糖尿病を改善するという直接的な根拠は得られていませんが、食後高血糖の上昇を抑える食事、運動、体重コントロールが重要です。治療薬(βグルコシダーゼ阻害薬、速効性インスリン分泌促進薬、インスリン製剤、DPP-4阻害薬)もあります。

(患者)やっぱり糖尿病って生活習慣病なんですね。節制が重要ですね。

(私)薬局に食後高血糖を抑える食事のレシピがあります。ご覧になってください。

1)肝臓や筋肉などの細胞に糖が取り込まれなくなることをインスリン抵抗性といいます。インスリンが分泌されていると抵抗性があっても補てんされますが、分泌が低下すると補えなくなり食後高血糖になると言われています。

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糖尿病と骨折

糖尿病の60代男性の患者様

患者様
自転車で転んで肋骨3本折っちゃった。
ファルマ子
糖尿があると骨折しやすくなるんです。
患者様
関係あるの?骨密度は良好だよ。
ファルマ子
骨のつくりは鉄筋コンクリートに例えることができます。コンクリートにあたるのがカルシウムで、骨密度はこれの量を測定しています。コンクリートを支えるために鉄筋が埋め込まれていますが、骨の中でこの役目をするのがコラーゲンです。糖尿病患者さんの骨は、カルシウムが少ないのではなく(だから骨密度は良好に見えます)、コラーゲンに糖化したタンパクが蓄積して骨の質が悪くなり骨折しやすくなるんです。

患者様
骨ってカルシウムだけじゃないんだ。知らなかったなあ。治るのも普通の人と比べて遅いの?
ファルマ子
遅いです。例えばインスリン不足による免疫の低下や、糖尿病の指標である糖化ヘモグロビン(HbA1c)が酸素の供給を妨げ傷が治りにくくなるのです。
患者様
糖尿って全身の病気なんだね。骨密度が高いからといって安心は禁物なんだねぇ。。

参考文献:糖尿病と創傷治癒

上記の記載は経験によるもので患者様は架空の人物です。

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【糖尿配合錠トラディアンスの説明会に出席しました】

糖尿配合剤トラディアンスの説明会に出席しました。

トラディアンスは腎臓によるグルコースの再吸収を阻害し、尿中にグルコースを排出するジャディアンス(一般名:エンパグリフロジン)とDPP4阻害剤のトラゼンタ(一般名:リナグリプチン)合剤である。単剤同士の併用と比較して利点は①患者様の負担が軽くなる(8割)②お薬の数が減って患者様の服用が楽になる、③多剤投与防止があげられる。治験は1相と3相のみ実施された。再審査期間はジャディアンスの再審査終了2022/9/20に合わせ2018/9/21から2022/9/20とされた。

トラゼンタ、ジャディアンスについては、承認時に請求されなかったものの、心不全アウトカム試験(主要評価項目:心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中)が実施された(トラゼンタについてはこちら。ジャディアンスについてはこちら)。参考までに以下にジャディアンスの例を示す。ベーリンガーインゲルハイム(株)様によるとFDAではある基準に達していないとこの試験が要求されるとのことであった。

試験名:心不全アウトカム試験

治験薬剤名:ジャディアンス

背景:糖尿病患者は、糖尿病に罹患していない人と比較して、心血管疾患を発生するリスクは2~4倍である。2015年には糖尿病によって全世界で500万人が死亡し互いに、心血管疾患が主要な原因だった。

目的:本邦では承認時に要求はなされなかったが、欧米では上市した糖尿病新薬に対し心血管リスクを増やさないというエビデンス構築の要求がなされるため。

対象患者:心血管疾患の既往歴のある2型糖尿病患者約7000人

結果:心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中の頻度はプラセボと同等であった。

参考までにSGLT2阻害剤(ジャディアンス)の脱水予防の適正使用を示す。

1.投与初期はのどが渇く前に水分を摂る(起床後、トイレ後、入浴前後)。プラセボに比べて500mL尿量増加(投与1日目)

2.投与継続期はのどが乾いたら水分を摂る。投与初期に見られた尿量増加は見られない。飲水回数を過度に増やすと頻尿の原因になる。

3.高齢者は普段からこまめに水分をとる。SELT2阻害にかかわらず有害事象の発現率が高くなる

トラディアンス資材より引用

 

 

 

【糖尿病新薬オゼンピック皮下注の勉強会に参加しました】

糖尿病新薬オゼンピック皮下注(セマグルチド)の勉強会に参加しました。

糖尿病のお薬には注射剤と錠剤があります。注射剤は組成がタンパクで腸管から吸収されないため、皮下注射されます。注射剤には、①インスリンアナログ製剤1)②インクレチン(インスリン分泌ホルモン、以下、GLP-1という。)製剤の2種類あります。オゼンピックは、後者に属します。食事をとると下図のようにホルモンGLP -1が分泌されインスリンが出されます。オゼックスはGLP-1を改変させたものです。

オゼンピックは既存のビクトーザ(GLP-1+パルミチン酸、1日1回皮下投与)の投与間隔を持続させ、週1回皮下投与としたものです。同じく週1回の既存薬トルリシティ2)(GLP-1+ヒト抗体)と比較し、体重減少効果が強いのが利点です。

持続化のメカニズムについては以下の通りです。①長鎖脂肪酸によるアルブミン結合の増強により半減期を遅らせます。②GLP-1は下図のようにDPP4で分解されます。オゼンピックはDPP4での分解が起きにくくなっています(詳細はインタビューフォーム参照)。

1)インスリン製剤トレシーバはなぜランタスの倍の時間効くの?

2)糖尿病注射トルリシティはなぜ1週間効くの?

血糖の話の続き~患者様からの質問~

(質問1)糖尿病になると体の中でどういうことが起こっているの?

(回答) 高校の教科書にこんな問題がありました。

生物基礎、数研出版より抜粋

考察1:インスリン

考察2:健康な人は、食事をした後など血中のグルコ―ス量が増加すると膵臓の細胞が刺激され、血中にインスリンが分泌される。インスリン濃度が増大すると数分以内に、脂肪細胞、筋細胞のグルコースの取り込みが増加し、血中グルコース(以下、血糖という。)量が低下する。

患者Aは、食事をしたのにインスリンが分泌されないので血糖値が上がりっぱなしである。しかし、血糖値は食後1時間以降にゆるやかながら低下することから、糖を受け取る側(脂肪細胞、筋細胞での糖の取り込み)は正常だが、主にインスリンの出方に問題があるため糖尿病になったと考えられる。一方、患者Bは、食事前から血糖値が高く、これに反応したためかインスリンの分泌が食事前であっても高い。食事刺激に反応してインスリンの分泌は高まるが、血糖値はわずかに(≒10mg/100mL)低下した程度である。これらのことから、インスリンの出方は正常であるものの、糖を受け取る側(脂肪細胞、筋細胞での糖の取り込み)に問題があるため、糖尿病になったと思われる。

(質問2)HbA1cとは何ですか?

糖(グルコース)は、反応性が高く、タンパク質と結合しやすい。HbA1cとは、ヘモグロビンに糖が結合したものである。血中に長くとどまるため長期にわたる血糖のモニターとして使われている。下記に生成のメカニズムを示す。

引用はこちら

(質問3)糖がなんの悪さをするの?

(回答)糖尿病においては、糖が尿に出ること自体は問題ではなく、血液中の高血糖によって引き起こされる眼や腎臓の血管障害などの合併症が問題になるのである。原因は複数あると考えられている。

糖(グルコース)は、質問2の回答にも記載したが、反応性が高くタンパク質と結合しやすい(糖化反応)。結合してできた化合物を終末糖化産物(AGE)という。AGEsという名称は、あくまでも糖化反応による生成物の総称であり、一定の構造を示す化合物ではなく、現在まで様々な構造物質が解明されている。さまざまなAGEsが、毛細血管を傷つけ、目で進行すると失明に、腎臓なら人工透析、足なら末端まで血液がいかないため、足が壊死し切断になる。

(質問4)糖尿病では糖だけが細胞に取り込まれなくなるの?

(回答)糖だけが取り込まれなくなるわけではない。脂質も取り込まれなくなり、善玉コレステロールが減ったり、悪玉コレステロールが増え、脂質異常が進む。これが血流を悪くし、心筋梗塞などの冠動脈の病気を引き起こす。


薬剤師、現場に出る~尿糖と血糖どちらが重要?~

ステロイドを届けた在宅患者Aさんの続き(前回ブログ)。ケアマネから先日電話連絡を受けた。

「Aさんが、だるくて起き上がれなくなったとのことで受診。血糖値が400だった。血糖コントロールのために入院。主治医はステロイド性糖尿病ではないと診断。糖尿病の既往なし。・・・・」

在宅をやりはじめてから、ケアマネから病態を検査値でいわれることが多くなった。「あれ?HbA1cの値は?尿糖は?救急だから血糖値しか測れないのか?」ぐるぐる頭が回っていく。普段、糖尿病の患者様からの検査値の質問が一番多いので、整理してみた。

(質問)糖尿病は、尿が甘くなる病気ですよね。軽度の糖尿病のヒトの尿は甘くないの?

(回答)その昔、医師が患者の尿をなめて甘ければ糖尿病と診断したという逸話もあるが、それは逸話であって、よほど症状が進んでいない限り甘くないらしい。いわんや軽度の糖尿病をや。糖尿病になると尿が甘いにおいを発することがあるが、それは、ケトン体と呼ばれるものが多く排泄されるためで、糖が尿に出てきているわけではない(糖の水溶液は無臭)。詳しくはこちら

糖尿病で尿に糖が漏れ出すのは、血糖値[血液内のグルコース(ブドウ糖)の濃度]がおよそ170mg/dL以上になってから。食後でも基準値140mg/dLを大きく超えないと、尿に糖は出ないので早期診断には、尿糖よりも血糖検査が必須である1)。
糖尿病は尿に糖が出る病と書くが、エネルギー源である糖の調節がうまくいかない病気なのである。だから、血糖値が重要なのである。

しかし、血糖値は変動が激しい。だから、影響を受けにくい長期の血糖コントロール値としてHbA1cも指標にしている。糖の利用がうまくいかないとなにが悪いかについては次回に続く。

1)引用はこちら


 

【患者様からの質問】インスリン製剤トレシーバはなぜランタスの倍の時間効くの?

 40年近く会社に奉職され、定年後は第二の人生でお忙しい患者様Aさん。元リーダーだけあって「この方の下だったら働いてみたいな。」と思わせる半面、「Aさんは人の話聞かないから。」と主治医に苦笑いされるAさん。糖尿病の薬は忘れがち。時間指定のない以前記載したトルリシティ(以後、注射剤の商品名を示す)とトレシーバ(インスリンデグルデグル)が処方されていた。先日、血糖値が安定しないのか、トレシーバからランタス(インスリングラルギン)に変更がなされた。
(質問)トレシーバからランタスに変更になったけど、どう違うの?
(回答)トレシーバの持続時間は、42時間超。ランタスは24時間。トレシーバは注射し忘れた場合でも回復できる。
(質問)トレシーバはなぜランタスの倍の時間効くの?
答えられなかったので調べてみた。
 まずは参考までにインスリン吸収の模式図を下に示す。インスリンは高濃度で6量体になりたがる。皮下組織で希釈されることで分子量の小さい単量体になって、毛細血管から血中に吸収される。 
 トレシーバは、下記に示すように、皮下組織中で6量体インスリンが数珠つなぎになる構造を持つ。そして徐々に血中に単量体として吸収される。さらにインスリンに脂肪酸がくっついている。皮下組織中のアルブミンと脂肪酸がくっつくことにより、血管への吸収遅延を起こさせる(下図参照)。よって42時間持続されるのである。インスリンは、血液中のアルブミンの数万分の一しか結合しないため、低アルブミン血症患者には影響しない。
 それに対しランタスは、通常酸性のインスリンに塩基性アミノ基を置換し、中性分子にすることにより血液中で難溶性にする。

栗田卓也, インスリン製剤の変遷をたどる, 株式会社メディカルジャーナル社 からの引用


普通のインスリンと48時間作用が持続するトレシーバの違い


「新しい」糖尿病治療薬

糖尿病シリーズ第三弾。またかと思われるかもしれませんが、薬との絡みが書きたかったので。。。

一般的に言って、糖尿病の治療は、運動療法・食事療法・薬物療法の三つである。薬剤師的には薬物療法にのみ目がいきがちであるが、「2 型」糖尿病が生活習慣と関係していることから考えて運動療法や食事療法の重要さも認識しておきたい。

しかし、責任もって勉強しなければいけないのは、やはり薬物療法だ。特に、最近になって糖尿病治療薬は様変わりしている。従来にない機序に基づく薬が市場に投入されるようになった。これはなんとしてもついていかなくてはならない(信じられないかもしれないは、数年前までは、インスリン製剤の他には、メインを張る糖尿病治療薬は SU 剤やビグアナイド製剤くらいしかなかったのだ)。

機序に意識して、糖尿病治療薬をまとめる。

インスリン‥‥糖尿病ではインスリンが産生されないか不足しているので、インスリンそのものを生体外から補充する。考え方は、わかりやすい。

スルホニルウレア‥‥ SU 剤と表記されることが多い。2 型糖尿病では、膵臓でのインスリン産生能が残されているので、β 細胞を刺激してインスリン分泌を促す。グリメピリドなど。

ビグアナイド‥‥肝臓に作用して糖新生を抑制する。インスリン分泌云々には関係しないので 1 型糖尿病にも使える。食欲抑制効果もあるので肥満を持つ患者に良い適応になる。乳酸アシドーシスに注意が必要。メトホルミン、ブホルミンなど。

ここまでは、古くからある薬だ。インスリンそのものを外部から補充する、残されていたインスリンをこそぎ出す、インスリンとは関係なく肝臓での糖の産生を抑える、とその機序もわかりやすい。この他にもチアゾリジンや α グルコシターゼ阻害薬、グリニドがあるが、ここではその説明は割愛。

時代がくだると糖尿病関係の創薬は目のつけどころがより戦略的になる。

一般的に、糖を経口投与すると経静脈投与時よりも大きなインスリン作用が現れる。この経験的事実から、消化管に由来する何らかのインスリン分泌促進因子の存在が仮定されていた。このような作用を持つ化学物質のうち、特に消化管ホルモンをインクレチンと呼んでいた。インクレチンが 2 型糖尿病治療薬に転用できることは容易に想像できる。

GLP-1 受容体作動薬‥‥GLP-1 は 1980 年にアメリカ毒トカゲの唾液から同定されたインクレチンの一つである。インスリン分泌促進作用の他、胃内容物排出遅延作用もある。リラグルチド(商品名ビクトーザ)、デュラグラチド(商品名トルリシティアテオス)など。GLP-1 はペプチドのため当然経口投与はできない(インスリンと同様に皮下注)。GLP-1 にヒト抗体を結合し腎での排泄を遅延させたものがデュラグラチドである。

DPP-4 阻害薬‥‥生体内では GLP-1 は DPP-4 という酵素により急速に(半減期 1 ~ 2 分)分解される。DPP-4 の活性を阻害すれば、GLP-1 の分解が抑制され、結果としてインスリンの分泌が促進される。シタグリプチン(商品名ジャヌビア)など。

上記二つはインクレチン関連薬ともいわれる。ところで糖尿病患者では尿糖がみられることは前にも触れた。このとき、血液中の糖は、単純に濾し出されるわけではなく、いったん濾し出された後、SGLT2 というトランスポーターで能動的に血液に戻されている。SGLT2 を阻害すれば、血液中の余剰な糖は尿中に排泄されるため、結果として高血糖改善につながる。

SGLT2 阻害薬‥‥機序は上述の通り。腎臓に作用する点はユニーク。本邦では 2014 年に発売された新薬。インスリン云々は機序に関係しないため、 1 型糖尿病にも使える可能性がある。が、評価はまだまだこれからというところだろう。

GLP-1 受容体作動薬であるエキセナチド(バイエッタ)が日本で発売されたのが、2010 年。糖尿病治療薬を取り巻く情況は、ここ十年で大きく様変わりしたものだ。

 

糖尿病注射トルリシティはなぜ一週間きくの?患者様からの質問を踏まえて

トルリシティ(遺伝子組み換え)

糖尿病注射製剤には、大きく分類して、①インスリンそのものもしくはインスリンと同等の作用をするインスリンアナログ製剤と、②間接的にインスリンを分泌させるインクレチン(インスリン分泌ホルモン)の一種であるGLP-1受容体に作用するGLP-1製剤の2種類がある。トルリシティは、後者に属する。GLP-1は、膵臓β細胞からのインスリン合成と分泌を盛んにさせるインクレチンホルモンである。よってⅠ型糖尿病には使用されない。最近になり、この作用に加え、β細胞を増殖させる作用があるとFuscoらが報告している(Fusco.J et.al., Scientific Reports, 2017)。

内服においてもGLP-1 の働きを失活させるDPP-4 を阻害する薬(ジャヌビア等)は、従来のSU剤、ビグアナイド剤等と比較して使用頻度は高く、わが国で一番処方が多い糖尿病製剤となっている。

トルリシティはインクレチン(インスリン分泌ホルモン)の一種であるGLP-1とヒト抗体を組み合わせた構造を持っている。ちなみにビクトーザはGLP-1とパルミチン酸を組み合わせている。

・トルリシティ(遺伝子組み換え)の“遺伝子組み換え”って何?

薬としてより良い効果を示すために、分解の抑制、溶解度の改善、免疫原性の低減を目的にGLP-1の5か所のアミノ酸を天然のものとは異なるアミノ酸に置き換えてある。アミノ酸は遺伝子を設計図としてつくられるので、設計図を変更している。これを遺伝子組み換えという。

・なぜ、一週間効くの?

ヒト抗体をつけて排泄を遅延させている。GLP-1に分子量の大きなヒト抗体を結合させることで腎排泄を受けにくくなっている。そのためにヒトの体内に長くとどまることができる。

  • 皮下注でも膵臓にきちんといくか?

健康成人にデュラグルチド(トルリシティの一般名)0.75mgを単回投与したときの絶対的バイオアベイラビリティ(製剤がどれだけ血中に入るかの指標)は65%であった。添付文書によれば、血中濃度が有効な濃度になっていることから、膵臓へ作用することは明らかである、としている。