リウマチ患者様からの質問に答える -ちょっと詳しい免疫の話ー

つづき

そもそもリウマチとは何ぞや?とよく患者様から聞かれるので整理いたします。

リウマチとは、自分と外から来た異物を区別できなくなり、その結果として、炎症が起こる疾患です。自分と異物を区別して異物を排除するしくみを免疫といいます。

まずは、異物を排除する仕組み(免疫)から。

異物が入ると自分の体を守るために白血球が登場します。白血球は、下図1のようにいろいろ種類があります。病原体を丸ごと食べるマクロファージや好中球、抗体をつくって撃退するB細胞、感染した細胞を破壊するT細胞などがあります。

図1

異物が体に入ると、下図2のようにマクロファージがそれを食べ、近くの血管が広がり、血液成分が外に漏れ、異物の排除、修復が行われます。これが炎症で、熱感、発赤、腫脹、疼痛を引き起こします。更に、マクロファージだけでは手に負えなくなると、下図2のようにサイトカインという伝達物質をつくって近くの血管に働き、好中球を呼び寄せ異物排除にあたります。

図2

しかし、マクロファージの中で生き延びる強者もいます。そんな異物を退治するために、図3のようにT細胞が登場します。T細胞は普段は何もしないおとなしい細胞ですが、樹状細胞(白血球、図1参照)から刺激を受けると、サイトカインを分泌してマクロファージを活性化させます。

図3

リウマチは、免疫がうまく働かなくなり、異物が入らなくても、上記のように攻撃が開始されてしまう疾患です。リウマチを根治させることは難しく、対症療法として炎症を抑える薬が使われます。

参考までにさまざまなリウマチ薬の作用機序について下記に示します。

岡本一男ら、領域融合レビュー、1、e003(2012),からの引用、一部改変

図1~3は、田中稔之、免疫学、じほう からの抜粋


リウマチ患者様からの質問に答える

質問)長期間エンブレル皮下注を使用されていた関節リウマチの患者様。オレンシア皮下注に変更がなされました。 作用機序はどう違うのですか?エンブレルより効果発現は遅いように思いますが。

(答え)生物学的製剤の切り替えの症例です。

関節リウマチ薬は下記の3種類に分類されます。今回の患者様は3番目の生物学的製剤だけを使われています。

  1. 抗リウマチ薬(DMARS:ディーマーズ):現在の第一選択薬。リウマトレックス等
  2. ステロイド
  3. 生物学的製剤

エンブレルとオレンシアの作用機序を下に示しました。エンブレルは、炎症を促すサイトカイン(TNFα/β)をブロックします。それに対し、オレンシアは、より上流で免疫をコントロールしているT細胞の働きを弱めます(免疫については次章参照)。

リウマチ情報センター HPからの抜粋

効果発現については、「オレンシアの有効性評価において、従来の生物学的製剤と比較するとオレンシア投与開始からCRP値やESR等の臨床検査値が正常化するまでに要する時間が長い傾向があった(論文はこちら)。」「オレンシアはエンブレル(TNFα阻害薬)よりも遅いが、感染症などの副作用は少ない傾向がみられる(今日の治療薬2015、南江堂)。」との報告がありました。リウマチは、メカニズムが複雑なためではないでしょうか。複雑さについては次回につづく。