【患者様からの質問】インスリン製剤トレシーバはなぜランタスの倍の時間効くの?

 40年近く会社に奉職され、定年後は第二の人生でお忙しい患者様Aさん。元リーダーだけあって「この方の下だったら働いてみたいな。」と思わせる半面、「Aさんは人の話聞かないから。」と主治医に苦笑いされるAさん。糖尿病の薬は忘れがち。時間指定のない以前記載したトルリシティ(以後、注射剤の商品名を示す)とトレシーバ(インスリンデグルデグル)が処方されていた。先日、血糖値が安定しないのか、トレシーバからランタス(インスリングラルギン)に変更がなされた。
(質問)トレシーバからランタスに変更になったけど、どう違うの?
(回答)トレシーバの持続時間は、42時間超。ランタスは24時間。トレシーバは注射し忘れた場合でも回復できる。
(質問)トレシーバはなぜランタスの倍の時間効くの?
答えられなかったので調べてみた。
 まずは参考までにインスリン吸収の模式図を下に示す。インスリンは高濃度で6量体になりたがる。皮下組織で希釈されることで分子量の小さい単量体になって、毛細血管から血中に吸収される。 
 トレシーバは、下記に示すように、皮下組織中で6量体インスリンが数珠つなぎになる構造を持つ。そして徐々に血中に単量体として吸収される。さらにインスリンに脂肪酸がくっついている。皮下組織中のアルブミンと脂肪酸がくっつくことにより、血管への吸収遅延を起こさせる(下図参照)。よって42時間持続されるのである。インスリンは、血液中のアルブミンの数万分の一しか結合しないため、低アルブミン血症患者には影響しない。
 それに対しランタスは、通常酸性のインスリンに塩基性アミノ基を置換し、中性分子にすることにより血液中で難溶性にする。

栗田卓也, インスリン製剤の変遷をたどる, 株式会社メディカルジャーナル社 からの引用


普通のインスリンと48時間作用が持続するトレシーバの違い


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