症例報告を軽視する医療関係者は現場に出ないでほしい

過去記事の間質性肺炎の付け足し。ああ、連鎖が続いていく。。。

薬剤性の間質性肺炎は、薬剤の副作用としてかなり知られたもの&注意しなければいけないものであるが、一般医療関係者への理解・普及という点で今一つであるように思う。薬剤性の肝障害と比べたりするとその差は顕著だろう。思うに頻度的にレアだというのがその原因の一つではあるだろう。

だが、便利な時代になった。薬剤性間質性肺炎の症例がネット上で手に入る。

検索するとここに置いてありました。リンク切れの際は 日本呼吸学会誌 42 (6), 2004 p523~ 参照のほどを。

【経過概要】69 歳女性。X 年 8 月より咳嗽、腰痛を自覚。近医整形外科などを経て 12 月に某国立病院入院。各種検査にて肺腺癌 stage Ⅳ と診断される。X +1 年 1 月 21 日よりゲフィチニブ 250mg/day 投与。経過良好だったが、2 月 6 日に労作時呼吸困難出現。炎症所見もあったため翌日胸部 CT 施行。両側肺野のすりガラス上陰影を認めた。ゲフィニチブによる間質性肺炎と診断し、同剤投与中止、ステロイドパルス療法開始。一進一退であったが、3 月 24 日に急速な呼吸不全をきたし、帰らぬ人となった。

注目すべきは、ゲフィチニブ投与開始から 2 週間程度で副作用が出現している点、ステロイド治療まで踏み込んでいる割に治療反応性は必ずしもよくない点でしょうか。これらの症例報告の集積から、ゲフィチニブによる間質性肺炎は、機序が細胞障害性(慢性)でもアレルギー性(急性)でもなく未だに詳細不明であるが、肺障害の発生率は通常の化学療法に比べ高いこと、がわかっています。

 

ところで薬剤師の卒前教育は 6 年制に移行し、臨床教育も以前に比べると重視されるようになった(と聞く)。しかし、医師や看護師に比べるとカリキュラム的に「練れてない」感が強い。軸足が、未だに化学を中心とした微視的なメカニズム重視の「科学」に置かれすぎているように思うのだ。製薬メーカーの研究職ならばそれでいいかもしれないが、臨床薬剤師を目指すにはまただまた改善の余地がありそうだ。疫学的な知見から機序は不明ながら因果関係が明らかになったエビデンスは数多い。ハードサイエンス的なノリでそのような事柄を身に着けていくのは難しい。体験するのが一番なのだろうが、頻度的にレアなものはそれすら難しい。そのような事例は、症例報告などを読むなりして補っていく必要があるように思うのだ。

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